大規模修繕工事の業者選定から工事契約までのポイント
マンション大規模修繕工事における施工業者選定はもっとも大きな金額が動く瞬間です。
したがって、不透明な選定は不透明なお金の流れを想像させます。
管理会社主導方式も、コンサルタント方式の何れでも不透明な選定は避けなければなりません。
施工業者選定の流れを見ていきましょう。
Contents
透明性・公正性を持った施工業者選定
施工業者の選定方法は新聞等による公募が望ましいでしょう。
公募準備から施工業者の決定までの流れとしては以下の通りです。
②公募
③見積業者の選定
④見積依頼(現場説明会)
⑤見積書の提出(施工業者から管理組合へ)
⑥ヒアリング業者の選定
⑦ヒアリング
⑧施工業者内定
⑨管理組合総会にて施工業者決定
公募
公募によることで貴管理組合の大規模修繕工事を是非やりたいと思う業者が募ってきます。
その他に管理組合がインターネット等で業者を選定して見積り依頼するのも一つの手法であり、選定期間短縮には効果があります。しかし、工事価格の市場競争性を利用するには公募がより効果的です。公募と見積り依頼の両方を採用してもよいでしょう。
見積業者の選定・見積依頼
見積業者の選定に関しては管理組合の考えもありますが、ゼネコン系業者、大規模修繕工事専門系大会社、大規模修繕工事専門系中小会社、などの範疇部類分けして2社づつ程度選択するのを薦めます。
施工業者の特性により、貴マンションの特性に適した会社かどうか業者の長所短所を確認できます。
現場説明会
現場説明会とは、見積内容説明と資料貸与、質疑応答です。この場合に業者の時間帯をずらして一社づつの対応することが談合を防ぐために行う必要があります。
ヒアリング
ヒアリングにおいては、居住者が住みながら数ヶ月間に及ぶ工事において、工事管理をキチンと住民側の意向を汲んで対応してくれる監督(現場代理人)かどうかなど面接するものです。監督の力量がとても重要となります。
管理組合総会への準備
業者選定の締めくくりは管理組合総会です。通常は定例総会(年一回の定期総会)にあわせることは難しく、臨時総会を開くことが多いです。長期修繕計画書に定められた大規模修繕工事であるため、大規模修繕工事の実施・工事請負契約締結は過半の賛成で成立します。
この総会では理事会・修繕員会として施工業者内定までの道筋を明確に説明し、他の管理組合員が納得できる工事内容、選定内容でなければ組合員同士のトラブルになりかねません。
理事会としても透明性を持って組合員に説明できれば、業者選定に関して何ら問題がでることはありません。
住民説明会
管理組合総会で承認されると休憩を挟んで住民説明会を開催する例も多いです。何度も住民の皆さんのお集まりを願うのも出席率を下げることにもなるためです。
工事住民説明会の出席率は通常の定期総会よりも高くなることが殆どです。工事住民説明会では工事中の注意事項、工事協力願い、バルコニー等の立ち入り、エアコン室外機の一時撤去などの協力願い(費用負担の発生)などを説明します。
居住者・所有者の工事への協力
共用部分は所有者の共同財産です。大規模修繕工事はマンションという自宅の修繕工事であるため、他人事ではいられません。
一戸建て住宅の外壁修繕等の場合は、「自宅」の修繕工事という認識が強いために工事業者への協力意識は高くなりますが、共同住宅であるマンションの場合、自室と離れた部分の工事が多いために他人事と捉えてしまいがちです。
自宅のために施工業者と協力して行う姿勢を住民全体で持つことが大規模修繕工事を成功させる重要なポイントなのです。
管理組合総会では、このような「住民への意識づけ」を意識して開催するよう心がけましょう。
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参考:大規模修繕工事の工事監理について【現場監督の業務ではない?】